今年、『Pokémon GO』の開発元であるナイアンティックは、モバイルゲーム部門を『モノポリー ゴー！』で知られるScopelyに35億ドルで売却し、熱心なプレイヤーコミュニティから複雑な反響を引き起こしました。

一部のプレイヤーにとって、ナイアンティックによる所有からScopelyへの移行は、多くのユーザーが煩わしいと感じていた拡張現実（AR）機能への過度な重点が緩和されることを意味します。売却後、ナイアンティックはNiantic Spatialに社名を変更し、AR技術の開発に特化。一方、Scopelyは引き続きゲーム事業に注力しています。

しかし、Scopelyのタイトルに詳しい他のファンは、収益化の強化や、サウジアラビアの公共投資基金が資金源であるSavvy Gamesが親会社であることによる影響を懸念しています。

今月成立した35億ドルの売却契約後、初めてインタビューに応じた『Pokémon GO』ディレクターのマイケル・ステランカ氏は、今回の移行およびScopely所有がこの人気モバイルゲームの将来に与える意味について私と語りました。

「移転先はたった1ブロック先だったので、変化は劇的ではありませんでした」と、先週パリで開催されたGo Fest 2025会場の『Pokémon GO』ブランドのデッキチェアに座るステランカ氏は語ります。「すでに使っていた増設オフィスだったので、居心地が良かったです」

「移行は驚くほどシームレスでした」と彼は続けます。「これまで通りの業務が進行しています」

『Pokémon GO』にとって、それは絶え間ないゲーム内イベント、新たなポケモンの登場、そしてGo Fest 2025や今月英国で開始され8月にケルンで終了する予定の『Pokémon GO Road Trip 2025』のようなリアルイベントを意味します。ステランカ氏は、買収を通じてゲームは正常に運営されていると指摘しますが、まだ初期段階であるとも慎重に付け加えます。

「売却が大阪でのGo Festの期間中に成立し、チームが非常に忙しかったこともあり、タイミングは意図的に業務を妨げないように選ばれました」と彼は説明します。「Scopelyとの協議から判断するに、彼らはゲームチームに対して干渉しない方針のようです」

「開発チーム全体が移籍しましたが、報告ラインはナイアンティック時代のリーダーであり、現在Scopelyに在籍するエド・ウー氏にそのままつながっています」

「おそらく優先度が少し下がる重要な点は、拡張現実（AR）への重点的な注力です」

今後の展開は？多くのファンにとって、ARゲームプレイへの注力が減ることは歓迎すべきニュースです。

「多くのプレイヤーが、これまでに追加された一部のAR機能を受け入れていなかったのは公然の秘密です」とステランカ氏は認めます。「今後、ARの追加要素は、それが楽しさを高めると私たちが確信した場合にのみ実施されます」

ナイアンティックとは異なり、Scopelyはゲームに特化した企業であり、ステランカ氏はこれを自身のチームにとって「清々しい変化」と呼びます。

「ゲームに完全にコミットしている企業に所属できるのは刺激的です」と彼は言います。「ナイアンティックでは、時に会社全体の目標との調整に苦労することがありました。Scopelyでは、何がゲームにとって最善かが焦点であり、それは新鮮な空気のように感じられます」

リモートプレイ機能の拡張や、ラッキービトーや有料アイテムのゴールデンのぼんぐりなどの新アイテムといった最近のアップデートは、Scopelyの影響というより、チームが事前に計画していたロードマップに沿ったものだとステランカ氏は說明します。

「一部のプレイヤーは、最近の変更が買収に起因すると思っているようです」と彼は言います。「しかし、これらは何ヶ月も前から開発してきた機能です。Scopelyは私たちの計画に対して、指示するのではなく支援する姿勢を見せてくれています。今年後半には、さらにエキサイティングなアップデートが予定されています」

ステランカ氏は、チームが2年分のコンテンツ計画を持っていることを明かしますが、それは柔軟に対応可能だとします。

「懐疑的な人々は、引き続き懐疑的であり続けるでしょう」

売却発表後、ステランカ氏は著名な『Pokémon GO』YouTuberであるTrainerTipsとの率直なインタビューでファンの懸念に応えました。売却が成立した今、コミュニティの感情をどのように見ているか尋ねました。

「懐疑派は慎重な姿勢を保つでしょう」とステランカ氏は言います。「私たちの役目は、時間をかけてこれが前向きな変化であることを証明することです。TrainerTipsとのインタビュー後、健全な懐疑主義と和らげられてはいますが、より楽観的な意見も目にするようになりました」

また、サウジアラビア資本が所有するSavvy Gamesの下でのScopelyと『Pokémon GO』チームの連携、そしてそれがゲームの包摂的な精神とどう調和するかについても質問しました。

「この点については、Scopelyの共同CEOであるウォルター・ドライバー氏に直接確認しました」とステランカ氏は語ります。「彼の見解には共感しました。私たちのチームはSavvyと直接やり取りすることはありません。彼らはScopelyが独立して運営することを認めています。加えて、多様なグループと関わることは、私たちのコミュニティ主導の理念に合致します」

「関わらなければ、実際には何も変えることはできません」

「Savvyからのトップダウンの変更は予想していません」と彼は付け加えます。「彼らの支援により、私たちが長年模索してきた分野に投資できるようになります。株主からの圧力に直面する上場企業とは異なり、Scopelyではゲームの長期的な健全性を優先することが許されています」

最近、同じくサウジアラビア資本が関係するSNKは、同国のサッカーにおける役割に関連して、サッカー選手のクリスティアーノ・ロナウド氏をゲーム『ファータルフューリー City of the Wolves』に登場させました。

「それは見ましたね」と、私がそれに言及するとステランカ氏は答えました。

では、近々『Pokémon GO』にロナウド氏は登場しない？と尋ねると、

「絶対にありません」とステランカ氏は答えます。「それは『Pokémon GO』のスタイルとは合わないのです」